リメーク着物の製作・販売を手がける「着物工房綸(りん)」(箕輪町木下)の作品を使ったファッションショーが8月、豪クイーンズランド州ゴールドコースト南部にある、環境配慮型の持続可能な居住コミュニティー「カランビン・エコビレッジ」で開催される。店主の荻原美恵さんが7月10日、店内で開いた会見で発表した。
ファッションショーに至った経緯を説明する平賀裕子さん(着物工房綸)
「着物はお蚕様3000匹の命を頂いて一枚が完成する日本の大切な資源。洗って、ほどいて、デザインしてと手間はかかるが、作品を通じて日本人の着物への愛着や思いを世界の人たちに伝えたい」と意気込みを語る荻原さん。
現在77歳の荻原さんが着物リメークを始めたのは70歳の時。大病を患ったことがきっかけで「まだやり残していることがある」と病床で気づき、家業のヘアサロンを閉じた。迷わず10代の頃から好きで、夢見ていた洋裁の道へ独学で進んだ。2年度にはカルチャーセンターで講師を務め、その後、独立。今では20人以上の生徒が荻原さんの元で学ぶ。
オーストラリアでのファッションショーが実現したのは、箕輪町が運営する女性活躍推進事業「箕ル起業」での相談がきっかけ。相談員で、伊那市で生活雑貨店「ワイルドツリー」代表の平賀裕子さんは、同店でオーストラリアの蜜ろうキャンドルを取り扱っており、豪州在住のビジネスパートナーや友人とのつながりと交流が既にあった。平賀さんは「夢は海外、と語る荻原さんの思いを聞いて応援を決めた。伊那市の元料亭『松喜』のリノベーションオープンによって現地との交流が活発化し、伊那谷の現地をつなぐ『結び、時をこえて』という文化交流プログラムの一環で今回のファッションショーが実現できることになった。関係者の渡豪のための旅費などは全て自費。今後、スポンサーも募っていければ」と平賀さん。
会見にはショーでモデルを務める同エコビレッジ在住の荒木タイジさんと友人ら4人が参加。日本らしい絵柄の長じゅばんや、留め袖をリメークした衣装をまとって登場し、荻原さんの作品の魅力をアピールした。オーストラリアでは、現地の男女7人のモデルによるファッションショーに加え、お茶会やワークショップ、伊那谷の日本酒と和食のペアリングなども予定する。荻原さんの作品は約50着を現地に持ち込む予定で、オークションや展示販売会も行う。
荻原さんは「現地での販売価格についてもどのような評価になるのか自分では想像できないのでお任せしているが、リメーク着物は『アートも時代も縫ってつないでいる』という思いでやっている。世界の人にぜひ作品を見てほしい」と結んだ。