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高遠で石仏雑学トークライブ 「ちなみに」で広がる石仏と高遠石工の魅力

イベントを企画した「いなぽとけ」の山本祐介さん(石仏雑学トークライブ)

イベントを企画した「いなぽとけ」の山本祐介さん(石仏雑学トークライブ)

 「“ちなみに”石仏雑学トークライブ」が5月9日、伊那市立高遠町図書館(伊那市高遠町)で行われた。企画したのは伊那市地域おこし協力隊員で高遠石工と石造物のPRに取り組む山本祐介さん。

イベントの様子(高遠で石仏雑学トークライブ)

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 石仏や高遠石工にまつわる雑学トークを展開していく同イベント。登壇したのは、前伊那市文化財審議委員会委員長の北原紀孝さん、信州大学名誉教授の井上直人さん、高遠町歴史博物館学芸員の福澤浩之さんの3人。会場には石仏や石工に興味を持つ市民らおよそ40人が集まった。当日は「高遠石工とは?」「写真で見てほしい!お気に入り石仏」「高遠石工豆知識」「ここがすごい!高遠石工・守屋貞治」などのテーマで進行し、登壇者が「ちなみに…」と話をつなぎながら石仏雑学を披露した。

 北原さんは「石の加工は生活の営みそのもの。家を建てたり水路を作ったりするためにも石垣が必要で、特別なものを作るというより生活基盤を支えることが高遠石工の出発点だった」と解説。福澤さんは、高遠石工の特徴として文字碑を深く彫る技法について紹介。「深く彫ることで風化しても文字が残りやすく、ありがたみや書のデザインを長く伝えてきた。自然石を生かした唯一無二の形も文字碑の魅力となっている」と説明した。

 井上さんは、そば文化と石うすの関係について紹介。「そば粉を作るためには石臼が重要で、日本で石臼作りに最も力を入れていた地域の一つが高遠だった。高遠石工は精神面だけでなく生活面でも大きな役割を果たしていた」と語った。お気に入りの石仏紹介では、北原さんが建福寺にある守屋貞治作「願王地蔵尊」を挙げ、「石とは思えない柔らかさを感じる仏像」と紹介。守屋貞治について、福澤さんは「旅日記に『地蔵尊出現』と記している。自らの手で彫り上げるというより、彫っていたら自然にお地蔵さんが現れるという感覚で制作していたのでは」と独自の信仰観を解説した。

 高遠石工の石造物について、山本さんは「実家周辺にも石仏はあったが、どれもゴツゴツした印象だった。高遠石工の作品は髪や爪、歯まで繊細に作られていて肌や袈裟(けさ)の質感を彫り分けているところが大きな魅力」と話す。「高遠石工の魅力を発信するためにSNSで高遠石工の漫画『いなぽとけ』も企画・連載している。SNSやこうしたイベントを通して、初心者からでも楽しめる高遠石工の魅力をもっと発信していきたい」と意気込む。

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