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伊那の元料亭「松喜」が再生 カフェやギャラリーなどを備えた複合施設に

「喜事」を思わせるキジをモチーフに、黒い架空の鳥「喜鳥」がデザインされたのれんと写るオーナーの平賀裕子さん

「喜事」を思わせるキジをモチーフに、黒い架空の鳥「喜鳥」がデザインされたのれんと写るオーナーの平賀裕子さん

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 築120年の古民家で元料亭の「松喜(しょうき)」(伊那市荒井)がカフェや雑貨店、ギャラリーなどを備える商業施設として9月28日にオープンした。

1階のカフェから眺める庭の様子

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 1905(明治38)年に建てられた3階建て木造家屋で、伊那中心街の飲食店が立ち並ぶエリアに位置する。延べ床面積は約300平方メートルで、和室が計10室。日本らしい庭園や、ギャラリースペースに展示された花器や茶道具から、かつてここで茶道や華道を嗜(たしな)んだ家主の故・唐木とし子さんが暮らした日々が回想できる。店内の至る所に残された花器を生かして花を飾り、空間を彩る。

 建物を引き継いだのは近くの通り町商店街で、ミツロウキャンドルやオリジナルのミツロウ製品を中心に、オーガニック生活雑貨などを販売する「ワイルドツリー」店主の平賀裕子さん。取り壊し寸前だった同建物を残したいと奮闘し、平賀さんとつながる若者たちともコラボ。伊那中心街で人々が集う場としての復活を目指し、改装プロジェクトの代表を担ってきた。建物の改装費や工事費は自己資金を投入して対応してきたが、現在、クラウドファンディングで協力も呼びかけている。

 改装された3階建て木造家屋の1階部分では、子どもの頃から平賀さんと親交の深い海老原明さんが創作中華「日月屋(ひつきや)」を営む。2階部分には食器を扱う「余白洋品店」や鉱物や古道具を扱う雑貨店「石とアンティーク」など、複数の店舗が既に開業しており、現在も事業者から出店相談が入っているという。

 3階はギャラリーとして活用する方針で、月1回程度の日本文化に関連したワークショップも開く予定。オープン日には花や雑貨などの店「CONTE(コント)」(南箕輪村)を営む有賀晶子さんが「日常に飾る花の取り入れ方」をテーマにワークショップを開いた。

 平賀さんは「この地域でまだ残されている『古き良きもの』を未来につなぎ、訪ねてみたい唯一無二の街となってほしい」と話す。「この松喜で小商いにチャレンジした人たちが、独立して開業し、街の魅力をさらに高めるといった好循環を生み出す場になれたら」と抱負を語る。

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