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子どもゼロの限界集落、伊那の中尾で子ども神輿を復活 有志が会見

中尾集落にある「中尾座」で記者会見を開いた棚田まつり実行委員長の高橋隆文さん(左上)、ワッカアグリの細谷啓太さん(左下)、田楽座の相楽逸枝さん(右上)と中山洋介さん(右下)

中尾集落にある「中尾座」で記者会見を開いた棚田まつり実行委員長の高橋隆文さん(左上)、ワッカアグリの細谷啓太さん(左下)、田楽座の相楽逸枝さん(右上)と中山洋介さん(右下)

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 伊那市長谷の中尾集落で8月24日に企画されている「棚田まつり2024」の記者会見が6月18日、中尾座(長谷中尾)で開かれた。

記者会見の様子

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 輸出用米を栽培する農業法人「Wakka Agri(ワッカアグリ)」と祭り芸能集団「田楽座」で構成された実行委員会が主催する「棚田まつり」。近隣の地区の子どもたちを中心とした子どもみこし、害虫を追い払い豊作を祈願する「虫送り」の棚田ライトアップ、田楽座とざんざ節による公演と盆踊り、棚田マルシェや尻相撲大会などのイベントを予定する。

 中尾長谷地区は41世帯69人が住む集落で、高齢化が進み、約15年前から子どもが住んでいないという。実行委員長の高橋隆文さんは「長谷地区には何年も使われていないままの子どもみこしが眠っている。今回、祭りを企画するのに当たり、子どもを真ん中に置いた祭りをつくりたいと考えてきた。子どもみこしだけではなく、虫送りに使う灯籠は地元の小中学生と作るなど、一緒に準備していきたい」と話す。過疎地域の長谷中尾で行動を起こしていることを全国の人にも知って応援してもらいたいと、6月17日にクラウドファンディングを立ち上げたことも発表。「地域で持続可能な祭りとなるよう企画を進めていきたい」と話す。

 Wakka Agri代表の細谷啓太さんは2017(平成29)年から長谷地区で輸出用の米作りを行っている。「4人で水田4枚からスタートした米作りも8年がたち、15人で水田120枚分の米を生産するまで拡大してきた。地域の後押しがありここまで来たが、集落が廃れてしまったら結局は米作りもできなくなるという危機感から集落の再生を目指し、農作業イベント、農泊体験、飲食店の誘致などを行ってきた。今回、新たなアプローチとして、特に子どもみこしの復活を中心に据えた祭りを開催したいと考えた」と経緯を話す。

 共に祭りを企画する田楽座代表の中山洋介さんは「田楽座は日本の祭り芸能、昔から各地域に伝えられてきた伝統芸能などをステージで上映して今年60年目を迎える。今回、棚田まつりでは中尾座のステージでのパフォーマンスはもちろん、野外での仕掛けも考えている。全国各地の祭りを見てノウハウをためてきた田楽座として、この祭りに関われるのを楽しみにしている」と意気込む。

 中尾地区在住で中尾歌舞伎保存会代表の中村徳彦さんは「子どもみこしがまた見られるのはうれしい。中尾を盛り上げる祭りになること期待している」とエールを送る。

 クラウドファンディングは7月31日まで。祭りの情報は今後、インスタグラムで発信する。

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