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伊那・長谷にパン店「ちゃるら」 自家製の窯と酵母でパンを焼き上げる

店主の古川浩二さん。トレーにはこの日焼き上げた食パン

店主の古川浩二さん。トレーにはこの日焼き上げた食パン

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 パンの店「ちゃるら」(伊那市長谷黒河内)がオープンして、5月10日でプレオープンから3カ月がたった。

食パンを含め約20種類のパンをそろえる

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 店主は元会社員の古川浩二さん。愛知県豊橋市から移住し、築130年ほどの平屋建て古民家を改修して店を営む。2月10日にプレオープンし、本格的に店を稼働し始めたのは4月6日。「ちゃるら」はスペイン語で「おしゃべり」「雑談」の意味がある。

 「大きな自家製の窯を使い、まきでパンを焼くのが特徴。開店した頃は誰もここにパンを買いに来てくれないのでは、と不安に思っていた」という古川さん。実際に開店してみると客の約7割は地元の人々。リピーターも多いという。

 取材日には宮下勇さん(伊那市長谷在住)が開店と同時に妻と共に店を訪れた。同店の常連客で、近くに住む70代の夫婦。「オープンした当初からのファンで、特に食パンがおいしい。すっかりスーパーではパンを買わなくなってしまった。近所にパン屋さんができてとてもうれしい」と話す。食パン4斤を購入し、2斤は伊那市内に住む娘に届けるという。

 古川さんは「わざわざここまでパンを買いに来てくれるお客さんが、おしゃべりしながらのんびりした時間を過ごせる店にしたい」と12席分の机と椅子を手作りし、コーヒーマシンを設置して店内にカフェコーナーを設けた。コーヒーはセルフサービスで無料。購入したパンを、その場で味わうこともできる。

 信州大学農学部卒業後、会社員として化学系企業に技術職として勤務していたが、心身共に疲弊し退職を選んだのが約2年前。その後、「パン屋になる」と決めた古川さんは弟子入りできるパン店を探したが、年齢のこともあり雇用してくれる店は見つからなかった。やっとアルバイトで働けることになった店では、レジや清掃などパン作り以外の業務に従事していた。半年が経過した頃、足しげく通っていた別のパン店の店主が古川さんの熱意に負け、一度は断っていた弟子入りを認めたことをきっかけに、本格的にパン作りを学べるようになった。

 半年ほど修業し、開業に当たって当初は愛知県などで物件探しをしていたが、現在の古民家をネットで偶然見つけ、大学時代に過ごした伊那谷に戻ることになった。

 古川さんは「パン作りを教えてくれた師匠との出会いが大きく人生を変えた」と振り返る。70代半ばになる師匠は愛知県新城市でパン店を営む。古川さんの開業のために長谷まで来てくれ、開業に必要な窯作りも指導してくれたという。「師匠もまた50代半ばで脱サラし、パン屋を開業するという同じ道をたどった人で、パン作りに必要な技術は全て伝授してくれた」と感謝を述べる。

 「師匠やここに住む近所の皆さんなど、本当に人との縁に恵まれ、ここまで来られた」と古川さん。パンは国内産小麦粉を使い、自家製酵母でゆっくり発酵させる。20種類ものパンを用意するのは手間暇もかかるが、さまざまな味のパンを楽しんでほしいとの思いがあるという。

 クリームパンやおやきパン、メロンパン、ライ麦パン、あんぱん、季節の野菜を使った総菜系のパンも用意する。価格は150~300円(食パンは2斤1本で750円)。

 営業は水曜・土曜の10時~15時。

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