南アルプス戸台パークと分杭峠とを結ぶバスの新路線「分杭気の里ライン」の運行が4月12日、始まった。
分杭峠は中央構造線の真上に位置される観光名所で、凍結のため冬場の11月末~3月は完全閉鎖されている。運行開始初日には運行式も開かれた。分杭峠まで片道30分、往復料金大人2,000円。乗車券は戸台パーク仙流荘内にある券売機で購入できる。
分杭峠のバス乗降場から一段上った場所には高遠藩の班境を決めた石碑「従是北高遠領」が設置されており、分杭峠の由来となっている。峠からは断層沿いに真っすぐに延びる中央構造線を高遠城に向かって見ることができる。バス乗降場から谷へ降りた「気場(きば)」と呼ばれる場所には木製のベンチがあり、訪れた人は自然の中で思い思いに過ごすことができる。
年間約6万人の観光客が訪れ、昨年度は約500台のバスが運行した。多い時は1日300人が訪れることもあり、来場者の人数に合わせて臨時のバスを運行する。観光客の中にはリピーターも多いという。
南アルプス林道バス営業所の伊藤さんは「パワースポットとして分杭峠がテレビ放送されたのを機に訪れる人が増え、渋滞が多く発生するようになった。事故防止やスムーズに観光できる環境を整えるため、南アルプス戸台パークのリニューアルと併せ、観光客向けの新路線を開設した。分杭峠へ訪れる際は、こちらの駐車場とこちらのバスを活用してほしい」と呼びかける。
伊藤さんは「南アルプス戸台パークから出る別路線『南アルプスクイーンライン』は4月25日に運行を始める。北沢峠へ向かう路線で、南アルプスへ向かう登山客に多く利用される。春はシナノコザクラやアサギマダラのような貴重な花を見ることができ、秋になると谷あいの紅葉を楽しめる。ぜひ足を運んでもらえれば」と話す。