
伊那の和菓子店「たまや菓子店」(伊那市荒井)が3月13日、営業を再開した。創業60年以上の歴史を誇っていたが、昨年末に惜しまれながら閉店を決めた。「常連客が店の前を通る度に再開の要望を伝えてくれた」と店主の若林忠男さんと妻のふみ子さん。年齢的に継続が厳しいと一度は引退したが、常連客の声に応えたいと、しばらくの休養を経ての再開となった。
ふみこさんは「休んだといっても体が完全に回復するわけではないし、背中も曲がったままだけど、元気にやっていますよ」と笑顔を見せる。期間限定販売のヨモギを使った「新草餅(しんくさもち)」も販売。原料となるヨモギは、忠男さん・ふみ子さん夫婦が高森町まで採集しに行った。「先日県内の新聞から取材を受け、記事が掲載されたことで連日市外からも多くのお客さまの来店がある。昨夜は寝てないよ。朝から雪かきして、予約の入った新草餅を今から作らないと」と忠男さん。
雪が舞う3月19日の朝9時ごろ、常連客の80代女性がやって来たが、「ごめんね。予約してまた昼ごろ取りに来て。すぐ作るから」と忠男さんは再訪を依頼。常連客は「朝早くに来ても売り切れだなんて驚いた。常連客にとってはつらい。でも再開してくれて、やっぱりうれしいし、応援している」と話していた。
ふみ子さんも「多くの方に来ていただけるのはとてもうれしいが、最近はこのような状況なので、必ず予約してから店に来ていただけるとありがたい。売り切れてお客さまを落胆させたくない」と話す。メニューは新草餅、おやき、大福餅(以上170円)。
営業時間は9時~19時。