ドーナツ専門店「キツツキドーナツ」が6月7日、辰野町で移動販売を始めた。
店主の高木しず花さんは4月、辰野町の地域おこし協力隊に着任し、商店街にある空き物件を活用した「町の文化拠点開発事業」を担当する。町の入り口となる案内所としての機能を持ち、秋ごろのオープンに向けDIYで改修を進めている。町民が作った創作物なども置けるミュージアムショップと書店、ドーナツを販売するカフェを併設し、アートや文化に親しむ機会やワークショップ・対話ができる複合的な場づくりを目指す。拠点の完成まで、移動販売車でドーナツを販売することにしたという。
「キツツキドーナツの由来は、穴を開けて作るドーナツと、木に穴を開けるキツツキを連想した。ドーナツをみんなで食べることで、困り事や人と人の間にある壁に風穴を開けて、人の輪をつくりたいと、店名に思いを込めた」と高木さん。
ドーナツ販売を始めたきっかけについて、東日本大震災のボランティアに参加した際、おやつを食べながら立ち話しをしたことが平和な時間に感じたことから、「おやつを作って、平和な景色を生み出したい」と思うようになったという。立ち話をしながら片手で食べることができ、多世代に親しみのあるおやつがドーナツだったため、コロナ禍に研究を重ね商品化。ドーナツの販売は2023年3月、飯綱町で始めた。
ドーナツは5種類を用意。プレーン(280円)、おさとう、きなこ、シナモン、スキムミルクと砂糖をまぶしたミルクシュガー(以上300円)。「ドーナツは米油で揚げているため胃がもたれにくく、軽くもっちりした食感。甘すぎないため朝食にするのもお勧め。スペルト小麦のおいしさが引き立つため、生地は乳製品や卵を使わない。ミルクシュガー味は保育園で子どもの頃に食べた給食が好きで再現した」という。
今後も、辰野を拠点にドーナツを販売しながら拠点の整備を進めるという。「拠点に立ち寄る人が交流や対話を通して成長することと、DIYで作っていく拠点の成長が重なるような場づくりがしたい。未完成だからこそ敷居が低く、誰もが立ち寄りやすい拠点にできれば。いずれ辰野町ならではの食材を使ったドーナツも開発したいので、アイデアを募集している」とも。
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