
伊那市立高遠町図書館(伊那市高遠町)の古文書を翻刻(ほんこく)する作業を競う「古文書解読コンテスト」が8月1日から開催される。
翻刻とは、古文書などに記された特徴的な草書体(崩し字)を読み取り、現代語に活字化する作業。昨年初開催した同コンテストには111人がエントリーし、翻刻が完了した文字数は158万1408文字に及んだ。事務局で伊那市地域おこし協力隊員の前田和弘さんは「研究をオープンにして市民に研究に参画してもらう『シチズンサイエンス』という取り組みが広がっているが、人文系の取り組み事例は少なく、このコンテストが注目されたのを感じている」と話す。
コンテストは「みんなで翻刻」のサイトを活用し、伊那市が提供する古文書の翻刻を個人やグループで進める。審査は、翻刻文字数、添削文字数、正確性を基に専門家チームが協議し、上位10アカウントに総額25万円の賞金を贈る。8月1日の開催を前に、現在公式サイトではみんなで翻刻のデモンストレーション動画とルール説明を公開しているという。
前田さんは「昨年は藩を収める側の資料、江戸とのやり取りなどのいわゆる公式文書がメインだった。今年は町方の池上家と北原平蔵家の資料を用意した。池上家は高遠城下の商いに携わっていたので町の様子が分かる。北原家は「高遠石工」をまとめていた家で、全国各地に石工を派遣していた。公式サイトの資料紹介には池上家と北原家の紹介も用意してあるので、歴史に興味がある人たちに楽しんでもらえるのでは」と話す。
参加資格は18歳以上。11月30日まで。12月に上位者を発表し、2026年1月に伊那市で表彰式を行う。