箕輪町沢区のビニールハウスを活用した工房で行われる竹細工制作が本年度も残すところ1週間となった。
作品を作るのは、ハウスを活動場所として提供している北澤公仁さんら5人。9時から16時くらいまで、日曜を除いて連日集い、畑仕事で多忙になる春まで工房で作品を作り続ける。
冬の期間のみ工房に変身するビニールハウスは、暖房なしでも温かく快適だ。竹細工作りは箱根駅伝が終わる1月4日に始まる。「地元出身の山川拓馬選手(駒澤大学)を応援するのが楽しみで、レースを見届けてからみんなで集っている。竹細工は作り始めて10年を超えるかな。完成品をほどいて、どうやって編んであるのか、構造を見たりして独学で竹細工に取り組んできた」と北澤さん。農家に生まれ育ち、竹細工は農道具として身近にあったが、気づくと作る側になっていたという。続けていると、一人、また一人と仲間が増えて一緒に作るようになった。竹の採集も町内で自ら行う。竹割をこなし、材料が準備できたら慣れた手つきで次々と精細に編み上げていく。
3月11日には箕輪町文化センターが企画した公民館講座「伝統技能を体験しよう『竹細工』を楽しむ」の講師として招かれた。
講師は、北澤公仁さんのほか、林清衛さん、大宮稔さん、上田安男さんらが担当。「竹で作ったドリッパーでコーヒーをいれると味がまろやかになる感じがする」と唐澤久樹公民館長が開講のあいさつで竹の魅力を伝えた。12人の受講者は一日かけてコーヒードリッパーを完成させ、それぞれ持ち帰った。
講座を受講し、竹細工に魅了された大槻浩子さんは受講後も足しげくビニールハウスに通い、作り方を学び始めた。大宮さんの隣に座り、指導を受ける。「竹細工には以前から興味があった。もっと学びたくなり、自宅も近く通いやすいので弟子入りした」と話す。
講座の評判を聞きつけ、町内外から匠の技を一目見ようと連日、来客が絶えない。お茶の時間には北澤さん自家製のカブの漬物と皆が持ち寄ったお菓子が並び、おしゃべりに花が咲く憩いの場に早変わり。「10時と15時にお茶休憩。休憩がメインで、作品作りはついで。北澤さんの漬物は絶品」と林さん。竹をさっと削った楊枝で漬物を器用にまた一切れ刺して、口に放り込む。林さんはこの日、休憩時間に近所の空き地でフキノトウを採ってきて参加者に分けた。キノコや山菜採りの名人で、ムードメーカーでもある。
工房では竹細工作り体験を行うなど、見学者を随時歓迎している。本年度は3月30日まで。次回は来年1月となるため、希望者は箕輪町地域おこし協力隊の山野邉智美さんまで連絡する。