
乾麺そばのレシピ本「蕎麦(そば)SOBA」が4月1日、刊行された。
26のレシピを載せた「蕎麦SOBA」(写真提供=山の上スタジオ)
信州産そばなどの製造を手がける「霧しな」(木曽町開田高原)初の自費出版となる同書。B5版75ページに26通りのレシピと盛り付けられた写真を掲載。記事全文を日本語と英語で表記し、海外の人でもレシピを再現できるようにした。刊行に当たり、伊那市在住のカメラマン高橋博正さんらが協力し、撮影などは全て山の上スタジオ(長谷溝口)で行った。
4年ほど前から同社が年2回制作するカタログ撮影に関わってきたという高橋さん。開田高原在住のフードスタイリスト、大森まゆみさん考案のそばのレシピを撮影してきたという。高橋さんは「カタログ撮影の度に大森さんは常に新しいレシピや、そばの楽しみ方を提案してくれる。伊那市在住の陶芸作家、島るり子さんも加わってくれたことで撮影に使う器の統一感も生まれ、撮影を重ねる度にレシピや良い写真がたまっていった。『いつか本にできたらいいね』という話は数年前から上がっていた」と話す。
刊行の話が具体的に動いたのは2024年の9月ごろ。本のために今までの26レシピ全てを撮影し直した。訪日外国人観光客など海外の人にもおいしいそばを作り味わってほしいと、レシピなどの翻訳は、伊那市長谷に移住し、キッチンカーの営業やリトリート施設の開設準備をしながら通訳としても活動する余呉宏紀さん・栗子さん夫婦に依頼した。
「そば粉は日本以外でも食べられているが、日本文化のそばを海外にも伝えたいと思った時に、世界にはそばゆつが手に入らない地域もある。今回のレシピ本は『蕎麦と塩』『冷蕎麦とつゆ』『温かい蕎麦』のカテゴリーに分けて掲載している。そばつゆが手に入らない地域の人でも日本のそばの魅力を感じてもらえたら」と高橋さん。レシピ写真は背景や統一感にも気を配り、シンプルで見やすいようにこだわったという。
3月には東京・代官山の蔦屋書店でポップアップ展示も行った。乾麺や島さんの器の展示販売も行い、大使館なども近いことから海外の人も多く訪れにぎわったという。
本の企画・進行を担当した霧しな広報部長の大場和子さんは「自分たちで最後までこだわりたいという思いがあり、自費出版で発刊することができた。長野県を『そば県』として発信しようという取り組みも県内で行われているが、この本も、そば文化の継承になるような、10年先でも見ていただける本にしたいという思いで作ってきた。海外の人はもちろん、地元の人にも手に取ってもらえたら」と話す。
価格は2,400円。初版は限定1000部。上伊那では「酒と食のセレクトショップ じょうくら」(南箕輪村)で販売を始めたほか、今週からは「平安堂」(伊那市福島上手)でも扱う。