「トビチ美術館2024 森と空き家の分水嶺展」が現在、下辰野商店街(辰野町下辰野)周辺で開催されている。主催は「〇(まる)と編集社」(辰野町辰野)。
今年で4回目の開催となる同展。「アーティスト・イン・レジデンス」として、日本、フランス、台湾、ドイツから選ばれた8組が、空き家・空き店舗・荒神山スポーツ公園(辰野町樋口)・信州豊南短期大学(辰野町中山)に滞在しながらアート作品を制作する。滞在中は、アーティストが気に入った空き家で、空き家の不用品や町で材料を見つけ、アート作品を制作する。期間中は24時間自由に無料で鑑賞できる。
10月8日に旧桂林堂(辰野町辰野)でトークイベントを行った。アーティスト5人が、これまでの作品や辰野町での制作活動を紹介した。イベント後は来場者と会場を巡り、制作途中の作品を見ながらアーティストが制作秘話などを明かした。
福井県出身で「コンセプトベア」作家の浅井友紀さんは、野生のクマが生息地によって生態が変わることから着想を得て、廃材や植物などを使い、場所に合わせたクマのぬいぐるみを制作。浅井さんは「滞在する中で発見した、捨てられていたタマネギの皮で草木染したり、空き家にあった古布や麻袋を材料にしたりしている」と話す。
「ブックアート」作品を手がける太田泰友さんは、信州豊南短期大学の学校林を会場にして、アートを制作する。約40年間手入れがなかった学校林の木を伐採して材料にしているという。太田さんは「林業を芸術表現として追求したい」と話す。信州豊南短期大学の会場は、10月20日と11月23日に実施するツアーで公開する。
「〇と編集社」企画担当の吉田綾子さんは「空き家や森は、管理がされていないという面で課題に感じる人もいる一方で、可能性を感じる人もいる。そういう意味を込めて『分水嶺』というテーマにした。アーティストの作品が成長していく過程を見てもらえたら」と話す。
12月1日まで。