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箕輪町で「紙マルチ田植え」 共働きや子育て世帯、シェア田んぼで米作り

田植えを終え、講師の早川さん(上段中央)、伊藤さん(下段右)を囲むプロジェクトメンバー

田植えを終え、講師の早川さん(上段中央)、伊藤さん(下段右)を囲むプロジェクトメンバー

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 再生紙を敷きながら苗を植える「紙マルチ田植え」が6月18日、箕輪町木下の水田で行われた。主催は箕輪町の有志グループ「Rise with Rice(ライズ・ウィズ・ライス)プロジェクト」。

開会のあいさつと講師紹介を行う中野友美さん

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 町内では初の試みとなる紙マルチを使った田植え。メンバーは町会議員の中野友美さん、会社員の小野まゆみさん、町地域おこし協力隊の山野邉智美さん。仕事をしながら米作りをしたいと集まった3人で、2人は小学生の子どもを育てる子育て世代でもある。「『自分たちが口にする食べ物を自分たちで作る暮らしを。子どもたちと一緒に田んぼや畑に関わる日常を』という思いで集まった」と山野邉さん。

 当初は「手植え」による米作りを予定していたが、塩尻市で除草作業の負担を大幅に減らすことのできる「紙マルチ田植え」に取り組んでいる農家がいることを知り、塩尻市まで見学に行った。協力を得られることが決まり「紙マルチ田植え」を取り入れた。田植え当日は、同方法を岡谷市や塩尻市などで5年実践してきた早川伸一さんと伊藤博信さんが講師として紙マルチ田植え機をトラックで運び込み、運転操作を担当した。田植えの様子は、町民や町議、役場職員、地元メディアなど20人近くが見守った。

 紙マルチ田植えのメリットは、日光を遮断して雑草の伸長や繁茂を抑制し、田植え後約1カ月間、除草作業の負担を減らせること。紙マルチは再生紙でできており、50日ほどで微生物に分解されて溶解する。除草剤を使わないことから、特別栽培米や有機栽培米に取り組む農家から関心を集める農法だという。

 田面を平らに仕上げる工夫が必要で、代かきの工程では紙の密着の支障になるため技術も必要になることから、町内の「柴農園」(箕輪町木下)で米作り50年以上の経験を持つ柴一吉さんに代かきを依頼。「柴さんのプロの経験で、代かきを安心してお願いすることができた」と小野さんは振り返る。植えた苗は「風さやか」「コシヒカリ」の2種類。紙マルチを使った農法に適した品種を探っていくという。

 「私たちは米作りの素人集団。たくさんの人に協力してもらい、感謝しかない。大変なこともあると思うが、仲間と協力して乗り越えたい。スマート農機や省力化につながる農法を取り入れ、子育てや共働きをしながらでも安心・安全な米作りができる農法を模索していきたい」と中野さん。米作りの進捗(しんちょく)は、稲刈り体験会や研修会、SNSを通じて発信していく。

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