
箕輪町のタイ料理レストラン「GUUUT(グート)」(箕輪町沢)店主の三浦俊幸さんが5月14日、箕輪町文化センターで「イノベーティブタイ料理『GUUUT』の料理と手仕事」(グラフィック社)の出版を記念した講演会を開いた。
飲食店の激戦区である東京都港区で20年以上和食店を営み、2014(平成26)年、生まれ故郷である長野県の伊那谷で農業を始め、東京と長野を往復しながら自身で作った野菜を料理に使ってきた。食材の保存方法として発酵に着目し、2016(平成18)年ごろからタイに通って料理と発酵を学び、2018(平成30)年に「GUUUT」を箕輪町にオープンした。「イタリアン、日本料理、スペイン料理など、さまざまな料理を経験してきた。ここ伊那谷で地元の食材を生かして料理をすることに意義があると考えた時に、その先の出口としてタイ料理が最適だった」と話す。現在も約50種類のハーブとタイ野草、上伊那エリアに伝わる古来もち米白毛餅(しろけもち)を栽培し、料理に使う。
出版社側が用意した質問に回答する形で原稿を書き進めたため、「約3カ月間、関連書籍を読み、自分の頭の中を整理した」と振り返る三浦さん。四季ごとに計4回、レシピ料理の写真撮影を行い、企画から出版まで15カ月を要したという。講演会では、同店が「旅の目的地」となるレストランになっていることにちなみ、ガストロミーツーリズムという用語を解説したほか、本の制作秘話も披露。「作り方が参考になるようプロ向けに掲載しているが、一般の方にも読んでいただけるように文章もたくさん書き、工夫した」と三浦さん。同書では、三浦さんが考えた55のレシピを公開する。
講演会では、参加者30人に三浦さんが調理した「カオヤム」も振る舞った。タイ南部の家庭料理で魚醤(ぎょしょう)のナムブードゥーを使った甘辛いタレでタイ米とハーブ、野菜を加えて食べるもの。当日は白毛餅に、小松菜、二十日大根、コゴミ、姫リンゴ、カラスノエンドウ、レモングラス、パクチー、青唐辛子、タイのハーブ「ボアボック」などを使い、ソースで混ぜ合わせてさまざまな味を楽しめる料理を振る舞った。
箕輪町で農園を営む60代女性は「バタフライピーに色付けされたブルーのご飯に驚いた。アートのような料理の姿形、かけられた手間暇、食材の多様さによって一口ごとに変化する味にも感銘を受けた」と話していた。
同書の価格は2.970円。5月8日発売。