
建築やまちづくり、サウナに関心がある学生10人が建築したフィンランド式サウナが、3月3日に完成した。
まちづくり会社である一般社団法人「〇(マル)と編集社」と「Cyclo Project ry(サイクロ・プロジェクト)」が共催し、旧旅館を改装した宿泊拠点「トビチ商店舎KOUTEN(コウテン)」(辰野町平出)に滞在しながらサウナを作る2週間の実践型プログラム「ゼロからサウナをつくろう!」を企画。辰野町をフィールドに自発性を尊重する「ノンフォーマルエデュケーション」の研究とまちづくりに挑戦する目的で開いた。
サウナはKOUTENの大浴場に設置。サウナブランド「ハルビア・ジャパン」がサウナヒーター一式を提供した。昭和初期の浴場タイルなどはレトロな雰囲気を出すために残し、空き家から出たドアや鍋なども活用した。フィンランドのタンペレ大学で建築を教えるマリさんやキンモさんのアドバイスを受け、学生たちが主体となり設計から施工まで行った。学生たちはサウナがまちづくりで担う役割や、快適なサウナの設計を何度も対話しながら完成させた。
参加した坂口武紘さんは、アルバイトで熱波師をするほどサウナが好きな学生。「2週間とは思えないほど充実した時間だった。みんなで一緒に作り上げることで、得意分野が生まれ、自然に役割分担ができた」と振り返る。
フィンランドのタンペレ大学で「ノンフォーマルエデュケーション」の研究を行う若山智哉さんは「学生が率先して動き、チームビルディングをしながら取り組んでくれた。柔軟力、即戦力が身に付く経験になったのでは」と研究成果を実感する。
サウナは今後、宿泊施設の一部として運用する予定で、4月以降は宿泊客が利用できるようにするほか、一般開放も検討する。「〇と編集社」代表の赤羽孝太さんは「町を面白がってもらう仕掛けとして、サウナは有力なコンテンツ。新たに町に興味をもってもらいたい」と期待する。