「ふるさとCM大賞」最終審査会が11月30日に長野市内で開催され、伊那市の「江戸から繋(つな)ぐ 長谷のざんざ節」が優秀賞・県知事賞を受賞した。主催は長野朝日放送。
手塚さんが制作した、コマ撮り撮影に使った人形(ふるさとCM大賞NAGANO)
県内の市町村が30秒のCMを制作し、ふるさとの魅力をPRする「ふるさとCM大賞」。25回目の今年は県内42市町村から84作品以上が寄せられ、1次審査を通過した20作品が最終審査会に登場。作品の発表に加え各市町村のふるさと自慢の時間も設けた。
伊那市のCMを制作した伊那市地域おこし協力隊の手塚ほたるさんは今年6月、千葉県から伊那市へ移住。協力隊のミッションは「長谷暮らし応援隊」。長谷地区の祭りやイベントへの参加、空き家と移住者のマッチング、地域の魅力発信などが担当する。手塚さんは「6月から協力隊の活動を始めすぐに、たまたま市の人からの情報提供で『ふるさとCM大賞』の存在を知り、自分から『コマ撮りでCM大賞に応募したい』と市の担当者にかけ合った」と話す。
「長谷地区には中尾歌舞伎もある、美しい山々もある。長谷の魅力や名所を大きく巡るCMなども検討したが、江戸時代から続く歴史の長さに引かれ『ざんざ節』をCMの題材にした」と話す。
ざんざ節は、もともと伊勢神宮の周辺で歌われていた「木やり唄」が、長谷地区に残り続けている歴史があるという。「長谷の山奥から、まき炭などを馬の背に積み、高遠城下へ運ぶときに歌っていた馬追い唄。馬につけた鈴がアブよけの役割を果たしており、大きな鈴が「ザンザザンザ」と鳴ったことから「ざんざ節」と呼ぶようになったという。今は盆踊り歌として、踊りもついて長谷地区で引き継がれている」と手塚さん。
移住前にはコマ撮りアニメーションの制作会社に勤め、アニメーターや現場監督として働いていたこともあり、CMにはコマ撮りアニメを採用した。CMに使う人形制作に2カ月かけ、その後、撮影を重ねたという。「コマ撮りをする人形は、四肢が動かないとコマ撮りができない。目玉も動くように作るなどが必要。歴史や人々の生きざま伝統文化に興味があったので、ざんざ節を題材に作れることがうれしく、夢中になってCMを作った」と振り返る。審査会を終え、「馬のたてがみが風で揺れる動きなど、コマ撮りアニメだからこその人形の動きに皆さん感動してくださり、多くの声をかけていただいた。コマ撮りアニメの魅力を見出してもらい、改めて良さも実感する機会となった。今後も自分ならではのコマ撮りアニメで地域の魅力を発信していきたい」とも。
審査会の様子は1月3日16時から長野朝日放送で放送予定。