
「ホースセラピー講座」が9月20日、子どもたちの居場所「みんなの村」(伊那市高遠町山室)で開催された。
主催は同施設を運営する認定NPO法人「フリーキッズ・ヴイレッジ」。ホースセラピーとは、馬との触れ合いを通じて精神機能や運動機能を向上させるリハビリテーション方法の一つ。今回は、暮らしに困難を抱える子どもたちやその親、ホースセラピーに興味を持つ人を対象に体験の場を設けることを目的に開催。全5回の講座のうち2回目となる今回は、作業療法士の石井孝弘さんが講師となり、子どもの行動理解と支援の考え方について学んだ後、実際に馬と触れ合いながら引き馬体験を行った。
前半の講座では、視覚、聴覚、触覚など複数の感覚をまとめる脳の機能である「感覚統合」を中心に学び、「周りのみんなと同じようにやりたくても、うまく体が動かない」など、子どもが抱える困難さについて豊富な具体例を基に理解を深めた。後半は、高遠で昔ながらの馬耕(ばこう)、馬搬(ばはん)を行う「うまや七福」の農耕馬である4歳のイオリがセラピーホースとなり、参加者が順番に引き馬を体験。馬に対する立ち位置や姿勢、ロープの扱い方のアドバイスを受けた。
石井さんは「子どもにうまくできないことがあったとき、とにかくできるようにしようと、表面上に起きている問題を解決することばかりに注目してしまいがち。最も重要なのは、根本の原因を把握すること」「動物には人間に科学できない力がある。ホースセラピーをきっかけに子どもたちに馬と触れ合ってほしい」と話す。
うまや七福の横山春樹さんは「馬と一緒に田んぼの中を黙々と歩くと癒やされ、気持ちが通じ合っていると感じる。この辺りの地域は、かつて馬が生活の一部で、なくてはならない存在だった。そんな馬との関わりは教育にもセラピーにもなると実感している。子どもたちや保護者の方が抱えている困難に対して即効性はないかもしれないが、何かしら気づきを与えることができれば」と期待を込める。
講座は今後、第3回(11月16日) 、第4回(12月14日)、第5回(3月8日)と続く。開催時間は各回9時30分~12時30分。参加費は1,000円。要事前申し込み。