学ぶ・知る

伊那の古文書を「翻刻」 コンテスト通じ158万文字を現代語に活字化

(左から)壇上で記念撮影を行う茨木正子さん、仁ケ竹亮介さん、大塚秀邦さん

(左から)壇上で記念撮影を行う茨木正子さん、仁ケ竹亮介さん、大塚秀邦さん

  • 3

  •  

 伊那市立高遠町図書館(伊那市高遠町)の古文書を翻刻(ほんこく)する作業を競う「第1回 古文書解読コンテスト」の表彰式が3月8日、高遠閣(高遠町東高遠)で開催された。

1位になった仁ケ竹亮介さん

[広告]

 翻刻とは、古文書などに記された特徴的な草書体(崩し字)を読み取り、現代語に活字化する作業。伊那市、オンラインプラットフォーム「みんなで翻刻」、学術資料の保存を行う「AMANE」の3者の包括連携協定を元に設置した「古文書読解コンテスト事務局」が運営し、昨年10月からコンテストを行っていた。翻刻の対象となった資料は高遠藩主内藤家の資料561点、岩崎家の資料273点の計834点。期間中のエントリー者数は111人、翻刻が完了した文字数は158万1408文字に及んだ。

 翻刻文字数、添削文字数、正確性を基に専門家チームが協議し、1位は39万3662ポイントを獲得した仁ケ竹亮介さん(富山県)、2位は23万5956ポイントの茨木正子さん(大阪府)、3位は17万3067ポイントの大塚秀邦さん(長野県)、4位は13万2909ポイントのこっちさん(東京都)が、上位4人に選ばれた。

 1位の仁ケ竹さんは「年末の中間発表で自分が1位だったので、そこからますます取りつかれたように隙間時間を見つけては常に翻刻作業に参加していた。そのまま1位で終われてほっとしている」と笑顔を見せる。みんなで翻刻の入力文字数ランキングトップの茨木さんは「大学在学時にガリ版刷りのわら半紙を配ってもらい文字に触れてきた。子育てが終わったのを機に、変体仮名にたどり着くまでの形の変化をさまざまな本で調べ自費出版も行った。その後、漢字の崩し字にも興味を持ち社会人大学にも通ってきた。2020年に『みんなで翻刻』のサイトの存在を知り使い始めた。今回も暇を見つけては作業をしていた」と振り返る。大塚さんは「コンテストのきっかけは地元の新聞でコンテストのことを知った。昔古文書に関わる仕事をしていたので久しぶりに古文書に触れた。3位なのは素直にうれしい」と話す。

 同イベントを企画運営してきた伊那市地域おこし協力隊員の前田和弘さんは「翻刻完了文字数が158万文字、コンテスト期間中のみんなで翻刻内の翻刻数の約4割が伊那市の資料という驚きの数字が出て、関係者一同、驚いている。全国紙に掲載してもらえたり、論文掲載の話をもらったりと、全国的に注目してもらっているのを感じる。第2回は来年夏ごろの開催を目指して準備を進めていきたい。全国の古文書に関する課題をどんどん解決していく形を作っていければ」と意気込みを見せる。

エリア一覧
北海道・東北
関東
東京23区
東京・多摩
中部
近畿
中国・四国
九州
海外
セレクト
動画ニュース